『ハッピィ・ハロウィーン 1』



1 今日はハロウィーンです。
  アレンたんは朝から何だかそわそわ。
  神田が栗のケーキを焼いてくれたので、さっそくお茶にしました。

  アレン「ねぇ、あなたv 隣の奥さんがねぇ〜」
  神田 「……………何の真似だ」
  アレン「何って、僕、神田の奥さんなんですから」
  神田 「また変なホームドラマに影響されやがったな。
      くだらないもん、見るなって言ってるだろうが」
  アレン「だって、僕、今まで男所帯ばっかりだっただから、
      新婚生活って、どんな事したらいいか解らないんですよ。
      早く神田にふさわしい奥さんになりたいし 」



2  神田 「いつも通りでいいじゃねぇか。
      ちゃんと生活はうまくいってるし、学校も家事もこなしてるし、
      ケンカもするけど、まぁそれは仕方ねぇしな。
      毎晩、夫婦の営みも欠かさないだろ」
  アレン「んー、でも、それは別に恋人同士でも同じじゃないですか。
      僕は若奥さんとしてのたしなみとか、心得とか、
      そういうのが解らないから、ドラマを参考にしようと思って」
  神田 「何だ、そりゃ。
      どういうのが、たしなみなんだ。
      色々、面倒くさい事、考えんな。
      お前がそういう事言い出すとロクな事がねぇ」



3 神田 「大体、どっからそういう変な事を思いついたんだ」
  アレン「え? あのラビがアレンの手は奥さんになったのに
      全然変わらなくて、綺麗だなぁって。
      所帯染みてなくて、前より色っぽくなって……いえ、
      全然主婦っぽくなくて、変わらないなぁって。
      僕、そんなに変わらないのもどうかなと、思って」
  神田 「……………」
     (どうせ、言うついでにモヤシの手を触って、すりすりしやがったんだろ。
      …ったく! 今度、あの赤毛ウサギに会ったら、
       問答無用でたたっ斬ってやる)

  アレン「やっぱり、僕だって結婚したんですから、
      新妻らしく見えてほしいですもん」


  
             
4 神田 「お前なぁ…」
  アレン「ラビだけじゃないんです。
      葉月君やリナリーや皐月義兄さんにも言われたんですよ。
      さすがに考えちゃって」
  神田 「おい。リナリーはともかく、何で葉月や皐月が出てくるんだ。
      お前、あいつらにこっそり会ってるのか!?」
  アレン「こっそりって、神田の兄弟じゃないですか。
      もう僕の兄弟でもあるんですからね。
      残念ですが、この家には呼んでません。
      スーパーでたまたま会っただけです」
  神田 「たまたま、か?」
  アレン「だから、目くじら立てないでくださいよ。
      また眉間にしわが出てますよ? 」
  神田 「あのな、あいつらは俺と同じで
      ウィンドゥショッピングするような奴らじゃねぇんだよ」
  アレン「葉月君達だって、買い物くらいするでしょ?考えすぎですよ」

  神田 (フン。油断も隙もねぇな)

      
  
5 アレン「僕が一番好きなのは、神田だって解ってるでしょ?
      誰彼構わず嫉妬するの、やめてくれませんか?
      愛されてるの解って嬉しいですけど」
  神田 「…お前ってホントつくづく隙だらけでおめでたい奴だぜ」
  アレン「そうですか?
      神田なんて、結婚したのに未だに女の子からキャーキャー
      言われてるじゃないですか。
      男の人だって、街で会ってもみんな振り返るし、
      こっそり写真撮ってる人もいるし。
      神田、言われっぱなしで、追い払いもしないんですよね。
      僕、そのたびに、なーんか面白くないんですけど」
   神田 「興味ねぇよ」

     (お前がキャーキャー言われないのは、
      俺が周囲にガン飛ばしてるからじゃねぇか。このバカモヤシ)

6 アレン「あ、これ。おいしいですね。
      やっぱり神田のケーキは最高だな。
      また腕が上がったんじゃないですか?
      パティシエでも通りますよ。
      学校卒業したら、二人で小さなレストラン始めてもいいですね」
  神田 「お前以外の為に、何か作ろうなんて思わねぇな。
      面倒くせぇ」
  アレン「まぁ、いいですけど。
      ところで、栗のケーキってやっぱりハロウィンを意識したんでしょ?」
  神田 「? 今が栗のシーズンだから作っただけだ」
  アレン「かぼちゃが有名ですけど、栗もハロウィンの食べ物なんですよ。
      ハロウィンて、面白いですよね。仮装して、家々を回って
      『トリック or トリート』
      (お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ)って」

7 アレン「だから、僕らも仮装しませんか、今夜」
  神田 「なんで、だからだ。
      俺がイベント事が大嫌いだって知ってるだろ?」
  アレン「最近はラビのハピバとか、お月見とか
      色々してるじゃないですか。
      急にそんな事、言い出さないで下さいよ」
  神田 「仮装なんて、身の毛がよだつ。
      恥ずかしくてやってられるか!」
  アレン「でも、今夜、ラビ達と一緒に仮装して、
      タウンで食事しようって誘われたんですよ。
      タウンはハロウィンぽく飾り付けられて綺麗なんですって。
      お店も借り切ってるそうなんです。
      リナリーが僕たちの服も用意してくれたし、
      化粧もしてくれるんですって。
      だから、神田も参加しましょうよ」
  神田 「毎日、会ってる連中と何で雁首揃えて
      食事なんてしなくちゃいけないんだ。気色悪い」
  アレン「またそういう事言って。
      しばらく外食してないし、みんなで騒ぐのもいいじゃないですか。
      僕は行きたいな。
      ジェリーさんがお寿司と天ぷらを作ってくれるって」
  神田 「……………。
      まぁ、食事はいいが、仮装は嫌だからな」

  アレン(…食事はいいんだ(笑)

     「とにかく夕方まで充分時間ありますから、
      もうちょっと考えてみてくれませんか?」
  神田 「何時間あったって、結果は変わらないぞ」
  アレン(やれやれ)


 今夜のハロウィーンも簡単には進まないようです。

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