「こたつ」
1 もう季節外れですが、神田の母弥生がこたつを送ってくれました。
2 アレン「……へぇ、結構あったかくていいですね、これ。
何故かお茶までおいしく感じるし 」
3 神田 「へぇ、こたつじゃねぇか。珍しい」
アレン「ええ、いいですよね。おふとんの中に電気アンカを入れて、
そこで過ごすって日本人は面白い事考えるんだなぁ。
ベッドの両脇から足を入れるみたいで変な感じです。
でも、暖かいし、のんびりします」
神田 「……。まぁ、確かにここで居眠りすると気持ちいいからな」
アレン「ここで寝ちゃうんですか? 足の長さとか足りませんけど」
神田 「そこは身体を折り曲げたりして工夫すんだよ。
大体、こたつなんてのはくつろぐ為にあるんだ。
背筋伸ばして固まってなくてもいいんだよ」
アレン「へぇ、神田がそんな事を言うなんて意外です。
神田はいつも背中ピーンて感じですもん」
神田 「……姿勢がいいって言えよ」
4 アレン「ところでお腹空きませんか?」
神田 「もう、か? さっき朝飯食べたばかりじゃねぇか」
アレン「そうなんですけど。
このお茶、渋いでしょ? 何か甘いもの食べたくないですか?」
神田 「俺は茶だけでいい」
アレン「えー。英国のお茶の時間は必ずケーキやサンドイッチがついてるんですよ。
日本は、そんなのないんですか?」
神田 「3時のおやつの時間ならな」
アレン「日本人はよくそんなので足りますね」
神田 「英国人こそ、日に3度のお茶と食事で、よくそんなにスリムでいられるな。
みんな、お前みたいな寄生型なのかよ」
アレン「失礼な事言わないで下さい。
だから、食事の方は軽く取るんですよ」
神田 「俺はそういうのは行儀が悪いって言われたぞ。
お袋は栄養にうるせぇし、親父は飯はちゃんと食わねぇと殴るからな」
アレン「殴るんですか?」
神田 「物の例えだ。うるせぇな。
だから、育ってきた文化の差だろ。とにかく俺は欲しくねぇんだよ」
アレン「はぁ」
5 アレン「じゃ、甘いものはともかく今夜、何か食べに行きませんか?
ブイヤベースのおいしい所、リナリーに教えてもらったんですけど」
神田 「ん〜、冷蔵庫にまだ肉とか野菜残ってたし。
それ片づけないとな」
アレン「………神田、所帯じみてきましたね」
神田 「この間、レストラン行ったばかりだろ。
飯、作ってるのは俺なんだから文句は言わせねぇぞ。
俺の飯が嫌いか?」
アレン「そんな事、言ってないでしょ?
ただ、せっかくの週末なんだし、テストも終わったし、
気分転換したいなぁって」
神田 「…俺はまだレポートが残ってんだよ」
アレン「まだ、ですか?
あれ、この間、もう終わったって言ってたじゃないですか」
神田 「…面倒臭いんで、まだやってねぇんだよ。
お前がごちゃごちゃうるせぇし、剣道部にも顔出ししたかったしな」
アレン「ひどいなぁ。僕のせいですか?」
神田 「うるさい。とにかく今夜は家で食うからな!」
神田、行ってしまう。
アレン(もう、いっつも自分勝手なんだから。
せっかくの週末なのに、つまんないの)
6 アレン(…………あれ? こたつは? 直さなくてもいいのに。
…?? みたらし団子だ。メモもある)
神田『バカもやしへ
明日までにはレポート絶対終わらせるから。
これ食って、今夜は俺の邪魔すんな』
アレン(わざわざ、さっきこれ買いに行ったのかな?
ホント、素直じゃないんだから。
バカは余計ですよ、バカンダ)
こたつはないけど、ほんのり胸があったかいアレンたんなのでした。
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