「ハロウィン・パーティ」1

これはアレンが神田と出会うずっとずっと前のお話です。
師匠は高名な弁護士。アレンはその助手。
かなり大きな街で二人暮らしです。

1,アレン「もう、師匠!! またそんな格好でうろついてる!
      いつお客さんが来るか解らないんですから、止めて下さい!」
  クロス「うるせぇ奴だな。 公判が終わったばかりで疲れてんだよ。
      休みの時くらい何しよーが俺の勝手だろ」
  アレン「だからってみっともないでしょ?
      師匠って、女の人達の前でもだらしないんですか?」

  クロス「抱いた女の前で、下着姿でくつろいで嫌がられるようじゃ、
      おしまいだ、お子ちゃま。
      それとも、手前はヤル前にキチンと服を畳んでからでないと
      出来ない方なのか?」
  アレン「そ、そんな事言ってるんじゃありませんっ!!////
      もういいですっ! とにかく散らかさないで下さいね。
      一日中、片づけばっかりで勉強が出来ないんですからっ!
      それにこのメイドドレス! 何でこんなもの着なくちゃいけないんですか?」

  クロス「メイド服は元々作業服だ。
      それに俺としては、野郎より女がいい。
      こっちも妥協して、ガキの手前を助手にしてるんだ。それは制服と思え」
  アレン「このねこみみとしっぽもですかっ!」
  クロス「メイド服着てんだ。今更何をつけたって一緒だろ?」
  アレン「知りません!!」

2,翌日。

  アレン「師匠!! 僕の服は? どうしてミニなんです?
      それにまた昼間っから飲んで !」
  クロス「ロングがイヤだって言うから改良してやったんじゃねぇか。
      これで動きやすくなったろう?」
  アレン「僕は普通の男の服が着たいんです!!
      こんな足がスースーするのイヤです!」
  クロス「うるせぇな。それより、つまみを何か作ってこい」
  アレン「あのですね、僕は弁護士になりたくて、弟子になったんです。
      家政婦やメイドになりたくて住み込んでるんじゃありません!
      なのに、毎日、毎日…。
      
師匠はいつになっても何も教えてくれないじゃないですか」


3、 クロス「俺のせいか。…バカが」
  アレン「バカって何ですか!」
  クロス「だったら、独学すりゃあいい。以前のようにな。
      俺がイヤなら、独り暮らししろ。俺はちっとも困らん」
  アレン「……そ、それは…。
      ……出来ないから、仕方ないじゃないですか」
  クロス「解ってんならいい。
      とりあえず、つまみ」
  アレン「はぁ…」
      (もう、いっつもこのパターンで口を封じるんだから)


  
4,クロス「ところで、お前、ハロウィーンを知ってるか?」
  アレン「え? 勿論です。『トリックorトリート』
      (いたずらか、ご馳走か)って奴でしょ?
      窓から、村の子供達が扮装して、家々を廻ってるの見ましたよ。
      そりゃ、僕はさせてもらえなかったけど、マナがいっつも
      お菓子をくれました」
  クロス「なら、話は早い。明後日、うちでパーティやるからな。
      準備しとけ。そうだな、3、40人くらいになるか。
      食料品や飾り付け、全部やっとけ」
  アレン「……はい?」

5,アレン「ちょ、ちょっと待って下さい!!
      明後日って、何で急に!?
      料理はどうするんです? 飾り付けは? 招待状は?
      3,40人なんて、そんなっ! 僕が全部やるんですか?」
  クロス「心配するな。当日の皿洗いの手伝い位は呼んでやる」
  アレン「冗談じゃないですよ! 衣装もどうするんです?
      もう、どーしていっつも急に決めちゃうんですかっ!」
  クロス「泣き言を言うな。
      これくらい、ちゃちゃっと段取りつけてみせろ。
      弁護士はな、急な事態にも冷静に的確な判断が出来ないと務まらない。
      法廷じゃこんな事しょっちゅうだ。
       わめいてる暇があったら、ちゃっちゃとやれ」
  アレン「もーーーーーーー!!!」

6,アレン「…解りました。じゃ、師匠も買い物につき合って下さい」
  クロス「一人でやれと言った筈だ」

  アレン「でも、僕はお客様の好みも知りません。
      このパーティは師匠主催なんでしょ?
      だったら、僕がつまらない酒や料理を用意したら、
      師匠の社会的評価が落ちるんじゃないですか?
      師匠が事前にお客様のリストを下さるなら別ですが、
      僕も『クロス=マリアン』弁護士の名に恥じない
      パーティにしたいですから。
      それに師匠も僕なんかに『本当の酒』は見つけられないって
      思ってるんでしょ?」

  クロス「…フン。言うようになったじゃねぇか、クソ弟子。
      買い物くらいはつき合ってやる。
      さっさと着替えてこい」
  アレン「はいっ!

      (よかったー、僕が全部お金立て替えさせられるとこだったー(^_^;)

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