『風邪を引いた日 3』


15 アレンは夢を見ています。

   占い師「あの、あなた。ちょっとお耳に入れたい事があるんだけど」
   神田 「ほっといてくれ。俺は占いは信じねぇんだよ」
   占い師「それとは別。
        私、最近この街に越してきたんだけど、前の街であの子を知ってるの。
       もしかして、 あなたのお知り合い?」
   神田 「俺の女房だ」
   占い師「まぁ…………。だったら、早く別れてしまいなさい」
   神田 「何だと? ほっとけよ、ババァ」
   占い師「だって、あの子は…………養父と………が……で……赤毛の神父………」
   
   店内がうるさくて、よく聞こえない。



   アレン(やめて!
       神田、その人の言葉なんか聞かないで!!!)




16 神田 「おい、モヤシ!」
   アレン「……………神田」
   神田 「大丈夫か? うなされてたぞ」
   アレン「……熱ですよ。
       すいません、起こしてしまって」
   神田 「バカ、変な気を遣うな。どうした?」
   あれん「いえ……ただ、ちょっとイヤな夢、見ただけ」
   神田 「だったら、いいがな。
       汗、掻いたな。身体、拭いてやろうか?」
   アレン「……………ええ」


   神田 「たまには風邪もいいな」
   アレン「そうですか?」
   神田 「いつもなら、照れて自分でしますって言うくせによ」
   アレン「もう……あっ……そ、それ以上いいですよ。
       変な気になっちゃうから」
   神田 「……お前、本当に敏感になったな。
      (背中にキスして)
       まぁ、いいか。よくなったら、埋め合わせはしてもらうさ。
       早くよくなれよ 」
   アレン「バカ……」


   神田 「じゃ、ゆっくり寝ろよ」
   アレン「………ええ。
       あの、神田」
   神田 「何だ?」
   アレン「……熱出てきました。額に手を置いてくれませんか?」
   神田 「こうか?」
   アレン「………気持ちいい」
   神田 「……………」
   アレン「……ねぇ、神田」
   神田 「何だ?」
   アレン「神田は……神田だけは、僕の前からいなくならないで下さいね」
   神田 「何言ってんだよ」
   アレン「……………ごめんなさい。変な事言って…。
       風邪で弱気になってるのかな」
   神田 「…いなくならねぇよ。ならないから安心して寝ろ。バカモヤシ」
   アレン「…………はい」
   神田 「……………」





       

17 翌朝、具合がよくなったアレンたん。
  神田 「お前大丈夫なのか?薬飲むか?」
  アレン「もう大丈夫ですよ。
      神田の看病のおかげかな」
  神田 「バカ言ってんじゃねぇよ。まだ顔色悪いぞ。
      無理すんな」



18 アレン「食欲だってあるんですから。心配しないで下さい」
   神田 「そうか。
       まぁ、今日一日は休んでろ。俺も大した授業はねぇし。
       今朝は消化にいい物作ってやるよ。
       おかゆでいいか?」
   アレン「海鮮かゆがいいなぁ」
   神田 「風邪になっても食欲は衰えねぇな、手前は(笑)」
       



19 アレン「寝汗をかいて気持ち悪いからシャワー浴びよう」

   (久しぶりに、あんな夢見ちゃったな…。
    まだ、引きずってるのか…な。
    無理だよね。忘れられる訳ないもん)

20 アレン「お水遣らなきゃ・・・」
   観葉植物に水遣りをするアレンたん。

   (でも、神田と一緒だったら大丈夫。
    師匠と一緒の時だって大丈夫だったもの)



21 神田「おい、モヤシ! 飯出来たぞ。とっとと来い!」

   (あいつ、やっぱり何か隠してやがるぜ。
    一回、例の師匠とかに手紙で連絡した方がいいかもな。



22 神田(しかし、その師匠ってのは何処に住んでんだ?
    結婚したのに、タダの一度も連絡してきやがった事ねぇし。
    モヤシの野郎も「あの人は住所不定ですから」ってほったらかしだし。
    師匠宛の手紙が転送されてきたと思えば、中身は爆弾みたいな領収書だし。
    余り、つき合いたくねぇ野郎みたいだな

   火鉢の事は前世の事なので、神田は師匠の住所が解りません(笑)
   机の上の真っ赤な山はもちろん師匠宛の領収書(笑)


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