『Happy Wedding!』1
1 今日は親しい人たちに祝福された結婚式です。
しかし、二人とも嬉しすぎて前夜、羽目を外してしまいました。
その為、アレンたんはちょっとご機嫌ななめです。
神田 「おいもやし、拗ねるなよ」
アレン「もやしじゃありませんったら。
昨夜、キミが僕のこと離してくれないから…座ってるの辛いんです」
神田 「悪かった。オレだって嬉しいんだ」
アレン「ホントに?」
神田 「ここまで来て嘘をつくかよ」
アレン「何か気持ち悪いですね。神田が素直だと」
神田 「……もう離婚してぇのか」
アレン「いえ、冗談です(笑)」
2 リナリーがこの日のためにマスターしたお祝いの曲を奏でてくれました。
神田 「結局、お前の師匠、来なかったな」
アレン「…あの人も一応神父ですからね。
本当は師匠にやってもらいたかったんだけど、返事来なくて。
きっと、一文にもならない事はイヤなんでしょうよ」
神田 「本気でそう思ってんのかよ」
アレン「……………。
あの人がここに来ない本当の理由は何となく解ってますから、それでいいんです。
師匠は自分の意志でしか動きませんから、
今日は会えなくても、いつか突然現れると思います。
それに…一番来て欲しい人は…来られませんから」
神田 「ややこしいんだな、手前んちは」
3 神田の父、母、兄、弟も出席です。
父 睦月 「ユウの野郎、今更恥ずかしいとか色々ごねやがったが、
やっとここまでこぎつけたな。全く手間がかかる」
母 弥生 「いいじゃねぇか。しかし、花嫁にドレス着せたかったぜ」
父 睦月 「時間がなかったからな。
今度、江戸に帰って一族の披露目に改めて着せりゃいい。
アレンの白無垢はなかなか楽しみだ」
母 弥生 「ちっ、仕方ねぇな。
ところでアレンの親御さんは何処だ。一つ挨拶しときてぇんだが」
父 睦月 「何かインドで失踪して連絡がつかないらしいぜ。
放っておきゃ、いずれ会えるだろ」
母 弥生 「インド? ゾウ使いでもやってんのか?」
父 睦月 「さぁ、知らねぇな。
皐月ぃ、手前、何か知ってるか?」
兄 皐月 「俺が知ってる訳ねぇだろ。
ところであのピアノ引いてる子、何て名だ?」
父 睦月 「知るか。手前で勝手に訊けばいいだろ。
ただし、ここで面倒を起こしたら三枚に下ろすぞ!」
兄 皐月 「うるせぇな。放っておけよ」
全員、神田似の神経質な癖に大雑把な家庭(笑)
4 ラビ 「これから色々あるだろうけどさ、仲良くやれよ。
何かあったら俺はいつでも相談にのるからさ」
アレン「ありがとう」
神田 「アレンはオレのものになったんだからな
お前も他の誰かを見つけろよ」
ラビ「んな事、念押しされんでも解ってるさ。
でも、俺がいつでもアレンの味方だって事は変わらないぜ?」
神田 「何だと、おい」
ラビ 「俺だって解ってるつもりだし、けど、そう簡単に気持ちは変えられないさ。
でもさ、 好きな奴が幸せでいて欲しい気持ちだけはホントさ。
アレンを泣かす事だけはしたくない。
そういう事になるんなら、俺はいくらでもユウの手助けをしてもいいさ」
神田 「……信用できねぇな」
ラビ 「もー、心狭いね、ユウは。
まさか年賀状やクリスマスカードまでダメって言う気?」
神田 「そーしてやってもいいんだがな」
アレン「もー、二人とも。
神田も目を余り吊り上げてると、目が元に戻んなくなっちゃいますよ」
ラビ 「そうそう。
改めて、二人とも幸せに、な」
4 皆の前で誓いの口付けです。
アレン「…み、みんなの前だと何か緊張しますね」(ボソボソ)
神田 「うるせぇ。黙って目を瞑れ」(ぼそぼそ)
アレン「…プッ…神田も緊張しすぎて、顔がヒョットコみたいですけど」
神田 「…ふざけてないで目を瞑れってんだよ、バカモヤシ」
アレン「だって、緊張しすぎると、何か却って笑えませんか?」
神田 「キスよりパンチが欲しいのか?」
アレン「いえ……愛してます、神田。
富める時も病める時も死が二人を分かつまで」
神田 「俺も愛してる、バカモヤシ」
アレン「誓いの文句にバカモヤシはないんじゃないですか?
こんな時くらい、アレンて呼んで下さいよ」
神田 「アホモヤシがよかったか?
混ぜっ返したのは手前だろ?
いいんだよ、今更。
神様なんぞに誓わなくたって、俺は俺自身に誓ってる」
アレン「…死ぬ程、好きですよ、神田」
5 皐月 「ユウの奴、今日は表情が柔らかだな」
弥生 「アレンがあの子を変えてくれるだろう。
人間的に豊かになってくれるといいが」
皐月 「そうだな。見た感じ、いい方に行ってんじゃねぇの?
俺としては、アレンもいいけど、あのピアノの女の子もいいと思うな」
弥生 「今すぐ三枚に下ろされてぇのか。目移りすんじゃねぇよ」
6 まだ口付けを交わす二人には目もくれず、リナリーの後姿を見つめる父。
睦月 「可愛い娘の演奏はまた格別だな。命の洗濯になる」
リナリー(何か視線を感じるなぁ…。
ま、間違いそう……。
けど、神田の家庭ってみんな面白い程そっくりなのね。
兄さんに教えてあげなくちゃv )
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