『葉月君と僕』 3



14 葉月 「アレンって可愛いよな。兄貴にゃもったいねぇよ」
   神田 「お前・・・もう帰れ」
   葉月 「見てるだけならいいっつったろ」
   神田 「見てるだけで満足できる訳ねぇだろ」
   葉月 「それでいいんだよ、俺は!  
       別にうすら汚ねぇ目でアレンを見てねぇ。
       ただ、あの人の側で声を聞いたりしてるだけで充分なんだ」
   神田 「だから、お前はガキってんだよ!
       そういうママゴトにモヤシを巻き込むな」
   葉月 「ママゴトじゃねぇよ!
       あんたには俺の気持ちなんか解るもんか!」
   神田 「俺のものに色目使ってる野郎の気持ちなんぞ解りたくねぇよ。
       とっとと家に帰れ。
       どうせ学校でモテてんだろ? そいつらを相手にしたらどうだ」
   葉月 「関係ねぇよ。俺はアレンの事しか考えられねぇんだ」
   神田 「ケッ、くだらねぇ。お前は勘違いしてるだけだ。
       ……ったく、ガキがのぼせると、ロクな事がねぇ」
   葉月 「誰がのぼせてんだよ!」
   神田 「そういう所が、だ」

   アレン「あ、あの葉月君、今、家から電話かかってきたけど」
   神田 「……………」
   葉月 「……ああ、出る」

   神田 「モヤシ」
   アレン「はい?」
   神田 「余りあいつに関わるな。却って残酷だろ?」
   アレン「でも………」
   神田 「でも、は なしだ。解れよ」
   アレン「はい…」




15 葉月 「こんなとこに呼び出してゴメン。
       なあ、ユウ兄貴とは別れて
俺と付き合わない?」
   アレン「…ごめんね。僕は神田のことを愛しているんだ」
   葉月 「俺の気持ち、知ってるだろ?」
   アレン「じゃ、僕の気持ちも解って欲しいんだ」
   葉月 「どう解れって?……兄貴の弟だから、俺に優しくしたって事か?」
   アレン「葉月君…」
   葉月 「ひでぇよな。いっそ冷たくされた方がいいぜ。こういうの!」
   アレン「僕の気持ちは揺るがないって前に言ったよね。
       君はそれでもいいって、あの時、言ったんだ。
       お願いだから、僕を困らせないで。
       君を見てると、神田に冷たくしてるようでツライんだ。
       君は優しいし、いいところもあるって知ってるから、
       嫌いじゃないから、無視したくないんだ。
       僕の大好きな『義弟』でいて欲しいんだ」
   葉月 「困らせないで、か。
       そうだな……でも、気持ちって何で動かしにくいのかな。
       あんたが兄貴の嫁さんて、事も解ってるのにさ。
       兄貴の言ってる事も、アレンの言ってる事も解るぜ。
       けど………しんどいな…。
       アレンを見てると、そういう事忘れそうになる。
       そういう事、全部すっ飛ばして、俺の事好きになって欲しくなる」
   アレン「……………」
   葉月 「いいさ、しばらくは『義弟』でいてやるよ。
       あんたと逢えなくなる方がもっとツライからな」
   アレン「……ごめんね」
   葉月 「あやまんなよ。
       傷つけたくないって思ってるのにさぁ。
       悪いのは勝手に好きになった俺の方なんだから」
   アレン「……………」
   葉月 「だから、今夜はいいだろ。
       義弟なんだから、大事にしろよな、義姉さん」
   アレン「うん…」



16 アレンがシャワーを浴びているところを覗く葉月。

   葉月(……あれ、俺、タオルどこ置いたっけ……ワワッ!
      い、いけねぇ……見ちゃいけねぇ……………んだけど )

   美しい兄嫁の裸体に声もなく見入ってしまう葉月13歳であった。


17 アレン「……わわっ、びっくりした!」
   葉月 「ご、ごめん! お、俺、今来た所だから。
       ちょっとタオルを探しに来ただけで、あ、あったあった!
       な、何も見てねぇから! ごめん!」
   アレン「
恥ずかしいから、あっち向いててね」
   葉月 「あ、ああ……」

   慌てて背を向ける葉月。
   
   アレン(フフ、ああいう所がウブでかわいいよねv)



18 並んでテレビを見ているアレンと葉月。
   葉月 「ユウ兄貴は?」
   アレン「お風呂だよ」

   何だか二人とも緊張しています。

   葉月 「アレン……」
   アレン「何?」
   葉月 「いや、何でもねぇ…」
   アレン「そう」
   葉月 「……………」
   アレン「……………」
   葉月 「こうしてると、俺達、普通の姉弟みたいだよな。
       アレンは男だけどさ」
   アレン「ハハ、そうだね」
   葉月 「……………」
   アレン「葉月君」
   葉月 「何だよ」
   アレン「またご飯食べに来てよね。
       今度、来るまでにもっと料理うまくなっておくから。
       後、やっぱりお義母さんに料理習いたいな。
       味もだけど、神田の家にもっと馴染みたいんだ。
       僕、家族が他にいないから……」
   葉月 「アレンは親、いねぇの?」
   アレン「ここに来る前は師匠と暮らしていたんだけどね。
       それはスゴイ人でね。毎日、借金取りに追われてたのに
       全然動じなくて。女の人にもモテてて、毎日朝帰りで困ったよ」
   葉月 「師匠って、ホントの親父さん?」
   アレン「まさか。勘弁してよ」
   葉月 「じゃ、親は?」
   アレン「………うん。
       ねぇ!! 葉月君は学校でどう?」
   葉月 「は?? いや別に。フツーだよ」
   アレン「そうなの? クラブとか入ってる?」
   葉月 「ああ、剣道部とか」
   アレン「そうなんだ。葉月君の剣道してる所見たいなぁ。
       きっと剣道着姿って、似合うよねぇ。
       神田も剣法スゴイし、二人で練習したりするの?」
   葉月 「ああ、たまにな。兄貴、容赦ねぇから」
      
       (何だ、今、はぐらかされたよな?
       親の事は触れちゃいけねぇのか?

       ………にしても、やっぱアレンてかわいいよな。
       石鹸のいい匂いがするし…。
       チッ、さっきのシャワーシーンが頭から離れねぇ!)




19 突然、立ち上がる葉月。

   葉月 「悪ぃ、やっぱ俺、帰るぜ」
   アレン「ど、どうしたの、急に。
       僕、何か気に障ること言ったかな?」
   葉月 「そうじゃねぇ。…そうじゃねぇんだけど」
   アレン「今夜はもう遅いから危ないよ? 
       電話して、 誰かに迎えにきてもらわないと」
   葉月 「走って帰れば大した事ねぇよ」
   アレン「駄目。せめて神田に送ってもらった方がいいよ」
   葉月 「……」
   アレン「……やっぱり姉弟ごっこは無理なのかな」
   葉月 「ごっこじゃねぇよ。本当に俺達、義姉弟じゃねぇか」
   アレン「そうだね、ごめん」
   葉月 「だから、謝るなって」

   葉月、逡巡してから振り向く。

   葉月 「だから、甘えてもいいんだよな、義姉さん」
   アレン「……?」
   葉月 「……一度だけでいいんだ。膝枕してくれねぇか?」
   アレン「いいよ」

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