「バレンタインの雪」8
1 さて、バレンタインの朝が来ました。
神田 「おい、いつまで寝てんだ、寝ぼすけ。
いい加減、起きろ」
アレン「……んー…」
神田 「最近、夜更かしばっかりしやがるからだ」
アレン「神田こそ、ビデオ三昧じゃないですかー。
休みの日くらい寝かせて下さい〜」
神田 「後で起こしたら、絶対怒るだろうが。
外、見ろ。外」
アレン「ふぁあ??…うわぁ、雪だー! 凄い!
今年はもう積もらないと思ってたのに」
神田 「うっすらだけどな。
溶ける前に、お前に見せないと怒るだろ?
お前、雪、好きだからな」
アレン「…ええ、そう、ですね」2 アレン「ね、神田。じゃ、朝食の後で庭に行きませんか?」
神田 「…家の中から見えるだろ?」
アレン「神田は寒がりなんだから〜。
いいじゃないですか。ちょっとだけですから。
こんなに綺麗なのに、一人じゃつまんないです」
神田 「うるせぇ奴だな。解ったよ」
アレン「じゃ、神田。先に行ってて下さい。
僕もすぐ後で行きます」
神田 「はぁ? 一緒に行こうってったのは誰だよ」
アレン「いいから! 僕、ちょっとトイレに行きたいんで」
神田 「じゃ、居間で待ってりゃいいだろ。寒いし」
アレン「もう! …いいから、先に行って下さいってば」
神田 「仕方ねぇな。すぐ来いよ。1分以内に!」
アレン「はいはい」3 神田 (…一緒に見ようだの、先に行けだの、訳の解んねぇ奴だな。
まぁ、綺麗は綺麗だが、雪なんてのは
あったかいこたつの中で見てるのが一番に決まってるじゃねぇか)
4 アレン「すいませーん、お待たせしましたー。
わー。綺麗に積もりましたね!
バレンタインに雪なんてステキじゃないですか」
神田 「……遅い」
アレン「スネないで下さいよ。ちゃんとすぐ来たでしょ?」
神田 「もう充分だろ。おら、中に入るぞ」
アレン「僕、来たばっかじゃないですか!
…あのね、神田、僕、言いたい事があるんです」
神田 「手短に言え。手短に」
アレン「…もう、 神田がイベント嫌いなの、よく解りますよ〜」5 アレン「でも、やっぱり形にさせて下さい。
僕のバレンタインの気持ちです。
チョコとか色々迷ったんですけどー」6 アレン「じゃんv かわいいでしょー、クマちゃんで〜す」
神田 「……………」
アレン「僕がいない時はそれを抱いて、僕の代わりだと思って下さいね」
神田 「………どーしろと言うんだ」
アレン「だから、嬉しい〜vとか、大切にするぜ〜とか色々リアクションあるでしょ?
神田は甘いものったら、和菓子がいいでしょうけど、
やはり、バレンタインはチョコが定番ですから。
これ、チョコとクマのぬいぐるみがセットなんです。結構レアなんですよ?」
神田 「………抱きたい相手が目の前にいるのに、
何で俺がクマをお前だとか思わねぇといけねぇんだ」
アレン「だーかーらー、僕だって研修旅行とか春に向かって色々忙しいんですから!
そんな時、神田が一人で寝るのって淋しいかなぁって思って」7 神田 「人をガキみたいに言うな。お前がいなくても一人で寝られる!
大体、研修旅行だぁ? んなの許すか!!
誰と行くんだ! あの赤毛とか!」
アレン「……え? そ、そうですよ。
な、何だ、神田、知ってたんですか…そっか…」
(…師匠ったら、抜け駆け早いんだから。勝手に会わないでって言ったのに)
神田 「とにかくダメだ。行く時は俺も一緒の旅行以外ダメだ!」
アレン「もうムチャ言わないで下さいよ。僕だって大変なんですから」
神田 「ここで勉強すればいいだろ、ここで!
何で、お前はいつも赤毛の野郎の言葉はホイホイ聞くんだ!!」
アレン「仕方ないでしょ!? だって……。
んもー、はいはい。解りました! 解りましたってば。
研修旅行なんか行きませんてば!!」
(やっぱり、許してくれないかー。
他の理由、考えないとダメだなー)
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