「ホリークリスマス」2

1 街もすっかりクリスマスのイルミネーション一色です。
  さっそくブティックでお買い物。
  
アレン「……………」
  
神田  「何か言いたそうだな、モヤシ」
  アレン「言いたいですよ! 何ですか、これ? 女装じゃないですか!」
  神田 「いやー、お前、実は結構好きなんじゃないかと思ってな。
      来年用にどうかと思って」
  アレン「もー、ハロウィーンの事、まだ根に持ってるんですか?
     ホント、しつこいんだから!
     変な遊び、やらされたの僕の方なんですけど! 」
  神田 「うるせぇな。じゃ、次のが気に入らなかったら、
     今日はお前の言う事、何でも聞いてやる」
  アレン「何でもですね。いいですよ」
  神田 「解った。じゃ、持ってきてくれ」
  店員 「はい、かしこまりました」

2 アレン「神田、これ……」
  神田 「どうだ? 俺とお前が最初に出会った時、お前が着てた服だ。
      これも気に入らないか?」
  アレン「いえ…いえ…これがいい。これにします」
  神田 「そうか。…サイズもいいようだな。じゃ、包んでくれ」
  店員 「はい、かしこまりました」
  アレン「……。神田、わざわざオーダーしててくれたんですか?」
  神田 「悪くない思いつきだろ? クリスマスはお前の誕生日だしな。
      その姿で、お前とまた街で、もう一度出会うってのは」
  アレン「………神田」

3 リナリーが教えてくれた店は高級そうですが、なかなかいい感じのレストランです。
 


4 アレン「ねぇ、神田」
  神田 「何だ」
  アレン「最初から決めてたんですか、あれ?」
  神田 「さぁ、どうかな。俺は余り細かい事、考えねぇからな。
      急に思いついてそうした。……フフッ」
  アレン「何ですか、急に笑ったりして」
  神田 「いや、初めてお前に会った時の事、思い出してな。
      駅であっちうろうろ、こっちうろうろ。
      途方に暮れてたなぁ。バスの停留所教えてやったら、
      いきなり反対方向歩いていきやがって」
  アレン「………!! も、もう方向音痴だから仕方ないでしょ!」
  神田 「だからって、いきなり行くかよ」
  アレン「そしたら、神田がいきなり僕の手を引いて歩き出して、
      タクシーに一緒に乗っちゃったんですよね。
     『帰る方向が一緒だから同じだ』って。
     僕、何て強引で乱暴でコワイ…」
  神田 「イヤな奴と思ったか?」
  アレン「…けど、凄い美人だなぁって見惚れてました///」       



5 神田 「バカ////」
  アレン「だって、ホントにそう思ったんですもん///。
      同じ学校だし、新学期になって、また会えたら、
      どうやって友達になれるかな〜って。
       寮で入学の準備しながら、ずっと考えてました。
      そしたら、翌日、いきなり神田から『飯、喰いに行くぞ』
      って電話がかかってくるんですもん。驚きましたよ」
  神田 「寮はまだ休暇中で誰も帰ってきてないから、
       お前、困るだろうと思っただけだ」
  アレン「そうですけどー///。
      でも、あれからなんですよね。
      僕、方向音痴に感謝した方がいいのかな?
      神田に出会わせてくれたから」
  神田 「お前、イヤになる程、目立ってたからな」
  アレン「え、僕、そんな駅でうろたえてました?」

  
   神田 (俺の方が釘付けになってたんだよ。
      一目惚れしたのは、きっと俺が先なんだろうな。
      ……言わねぇけどよ、バカモヤシ)

  アレン(最初に女だーと思ったのは黙ってた方がいいんだろうな、バカンダ)

6 アレン「ここ、ホントにおいしいですね」
  神田 「そうだな。クリスマス、またここに来るか。
      今度は昼食でなくて、ディナーで」
  アレン「いいですね! 予約取れるといいな」
  神田 「その時は、あれ着ろよ」
  アレン「//////。はい」

7 喉が渇いたので、バールに入りました。お酒だけでなく、
  新鮮なジュースやドルチェも扱ってる店です。

  神田 「カプチーノと林檎ジュースを頼む」 


  
8 アレン 「ところで神田は何が欲しいんですか?」
  神田 「は? 何がって?」
  アレン「だって、僕は服をもらいましたよね。
      だから、僕も神田にあげたいんですよ、何か」
  神田 「……何言ってるんだ、お前?」
  アレン「何って、クリスマスプレゼントですよ」
  神田 「お前は時々変な事を言う」
  アレン「変な事って。
      神田も自分だけ解ったような事を言ってないで
      ちゃんと言って下さいませんか?
      神田だって、欲しい物あるでしょ? 物欲が!」
  神田 「あるに決まってるじゃねぇか、おかしな奴だな」
  アレン「じゃ、何ですか? シャーペンとか1050円とかなし!ですよ」
  神田 「1050円?」
  アレン「いや、まぁ、それはいいですが、ないんですか、何か?」
  神田 「あるさ。まぁ、お前に解ってないなら、俺は言う気はねぇ。
      ない知恵絞って考えろ」
  アレン「ちょ、ちょっと神田ぁ」

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