『碁打来る』
1 一人ラブバスで寛ぐ近所に住まう碁打の、塔矢(旧姓進藤)ヒカル。
ヒカル「神田の奴、独り暮らしにしちゃ、いい生活してんじゃん。
………ふーん、歯ブラシが2本ね。
彼女が出来たのか、あの神田にも。どんな子かな?
ところで、どう切り出すかなぁ 」
既に我が家のような顔のヒカル君(笑)
来るなり「メシ、風呂、トイレ」はシムのお宅訪問の鉄則のようです
2 神田 「どうだ塔矢との生活は」
ヒカル「まあフツーじゃん?」
神田 「で、何か俺に話があるとか」
ヒカル「あ、ああ、ありゃもういいの」
神田 「もういい?」
ヒカル「ちょっと遊びに来ただけだから。
ところで神田、彼女って美人?」
神田 「バッ、バカ。何を言い出すんだ、いきなり」
ヒカル「隠すなって。どんな子?今日、来るの?」
神田 「いや、今日は学校のレポートがあるから来ない」
ヒカル(……やった、ラッキーv)
なーんだ、残念。見たかったのになぁ、神田の彼女。
クラスメイト? 名前は? 年下? 俺、知ってる子?」
神田 「転校生だ。お前は結婚中退したから知らない奴だ。
そう言えば、アキラにはここに来ると言ってきたのか?」
ヒカル「そりゃ、勿論! あいつは今頃、次の大会の準備で忙しくてさ。
あー、冷えてきた。ちょっと俺、着替えてくるな」
神田 「……?」
3 ヒカル「ここはプールがあっていいよな」
神田 「塔矢に作ってもらえよ」
ヒカル「……そうだなぁ。
あ、神田の飯、うまいね!
レパートリーが広がったんじゃないの?
やっぱりしょうゆ味はいいよね。
この街のレストランもうまいけど、 外食、飽きちゃってさ 」
神田 「おふくろが作ったのを温めただけだ」
ヒカル「あ、そう」
神田 「外食って、家じゃ食ってないのか?」
ヒカル「え? 別に。 ちゃんと食ってるって」
神田 「お前、な」
ヒカル「あー、ごちそうさま! うまかった!
腹ごなしにプールで泳いでくるぜ!
あ、それからビデオ借りてきたんだ。後で見ような!」
神田 「……………」
4 神田 「ちょっと話がある」
ヒカル「何だよ、さっきのはもういいって。それよか、ビデオ見ようぜ」
神田 「お前な、今夜はどうするんだ?」
ヒカル「今夜って……何だよ、いきなり。 あ、もしかして夕食ご馳走してくれる?」
神田 「お前の話次第だ」
ヒカル「何だよ、怖い顔してー。それよかこんな格好で寒いんだけどさ」
神田 「さっきヒーターを入れたから大した事はないだろう。
それより、お前、塔矢とうまく行ってるのか?」
ヒカル「えっ!? あ、ああ、勿論だよ。塔矢は俺が好きだからさ。
そんなの知ってるだろ?」
神田 「まぁな。 けど、塔矢は思い詰めるタチだからな。
お前はしんどくなってるんじゃないか? それが」
ヒカル「何言い出すんだよ!? そんな訳ないだろ?
それより服着たいんだけど」
神田 「お前の水着姿を見ても、どうとも思わないから安心しろ」
ヒカル「何となく神田って塔矢と似てるなぁ、そういうとこ」
神田 「で、何故塔矢から逃げてるんだ?」
ヒカル「え、そ、そんな訳ないだろっ! 俺が逃げるなんて!」
神田 「お前はさっきから都合の悪い事になると逸らしてばかりだ。
訪問客がいない事まで確認してな。今夜はここに泊まるつもりだったろう?」
ヒカル「うーん。まーね。たまにはさー、俺も羽延ばしたいから」
神田 「何日、帰ってないんだ?それで」
ヒカル「帰ってるよ、神田は勘ぐりすぎだ」
神田 「お前がプールに入ってる間に他の家に電話をかけて確かめた。
お前、友人の家を泊まり歩いてるって」
ヒカル「……………」
神田 「一体どうしたんだ? これを相談したかったんだろ?」
ヒカル「別に仲悪いんじゃないんだ、その…。
ただ、何かさ、俺が一緒にいていいのかなって」
神田 「……………」
ヒカル「塔矢ってさ、俺が呆れる位、家でべったりでさ。まぁ、それはもういいんだけど、
こないだの試合でちょっとミスが重なったりして。
塔矢だから、そんなのちゃんと挽回出来たんだけど、目に付いたんだろうな。
後で俺、協会の人に心配だから君も注意するようにって言われてさ。
こないだまで妙に蒸し暑かったろ?
俺も塔矢のべったりぶりがちょっとキテたから、塔矢に今度の大会前は自制しよって。
そしたら、何か訳解らない内に大喧嘩になっちまってさ。
俺も、俺と碁とどっちが大事なんだよとか、悪い事言っちまったりして。
ほら、ケンカしたら、思ってもない事がつい口につくって事あるだろ?
で、塔矢が凄く悲しそうな顔してさー。俺、気が付いたら家、飛び出してきちまって」
神田 「……………それでその後、塔矢に連絡したのか」
ヒカル「した……。俺の口から何か言いづらくて、人に電話してもらったけど、
塔矢、迎えに来ないし。
やっぱり大会前だからさー。仕方ねぇかなって。
塔矢はああだからさ、ちゃんと大会に勝って、それで俺を迎えに来るんじゃないかって。
でも、やっぱ何か、俺、色々引っかかってて」
神田 「自分で電話すべきだと思うぞ」
ヒカル「うん……解ってんだけどさ。
塔矢をこれ以上、ごちゃごちゃさせたら、俺、サイテーなんじゃないかって。
電話より直接会わないと!とも思うけど、まだ勇気出なくて。
ゴメン、神田。しばらくここに置いてくれない?」
神田 「俺も色々あるからな。
(モヤシの奴に大事な事を言わないといけねぇし)
俺の実家を紹介してやる。家がでかいし、俺の元の部屋を使わせてもらえ」
ヒカル「サンキュー、助かったよ!
何か言ったらすっきりした。また泳いでくる!
あ、夕食はサンマの塩焼きがいいな〜 」
神田 「……やれやれ。現金な奴だ」
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