薄紅の日 1

1,アレン「ラビのお勧め通り、結構いい宿屋でしたね。
     お食事もおいしかったし、お風呂もよかったし。
     試験明けの休みにちょうどよかったですね」
  神田 「穴場って言ってたからな。
      バイクでないと来れないのは面倒だが」
  アレン「山道、怖かったですもんね。
     ホントに宿があるか心配になっちゃいましたもん。
     野宿しないといけないかなーって 」
  神田 「それはお前が方向音痴のせいだろ」



2,神田 「まぁ、その分、宿も俺達の貸し切りみたいなもんだったな。
     静かでいい」
  アレン「僕はもう少しお客さんがいた方がにぎやかでいいですけど。
     ところで明日は何処に行きます?
     こんな山奥じゃ余り観光するとこもないですしね。
     山を下りて、国道沿いに道の駅があったからそこにしましょうか?」
  神田 「んなの、帰りがけでいいだろ。荷物が増える」
  アレン「…そこの山菜定食とかヤマメご飯おいしいんですって。
     後、大福モチとかかりんとうとか」
  神田 「お前は食い気ばっかりだな。
     どうせ地場産の食料品を買い込むんだから、それこそ後にしろ。
     ラビ達に土産も買うんだろ?」
  アレン「じゃ、神田には当てがあるんですか?」
  神田 「まぁな。
     やる事もねぇから、俺はもう寝る」
  アレン「えーー、もう一回一緒にお風呂行きましょうよぉ」

3,翌朝。
  アレン「やっぱり僕らだけって、朝食寂しいですね」
  神田 「他の奴と仲良くなる訳じゃなし、家でも二人なんだから
      かまわんだろ」
  アレン「それじゃ、旅行に来た意味がないじゃないですか。
     いつもと違った雰囲気とか味合わないともったいなくないですか?」
  神田 「家じゃ、こんなうまい田舎ソバは食えないがな。
     ずっと試験で大変だったんだから、のんびりしろよ。
     いつもガツガツ何かやろうとする貧乏性はお前の悪い癖だ」
  アレン「貧乏性で悪かったですねっ。
     一泊旅行なんだから、楽しまないと損て思わないですか?」
  神田 「俺はそういうの解らんな。
     修学旅行で連れて行かれた観光地より、宿のふすまの染みとか、
     同室の奴の寝言とか、後になるとそんな事しか思い出さん」
  アレン「…神田を旅行に連れていくって甲斐がないですねぇ」(溜息)
  神田 「場所は場所で思い出じゃないからな。
      ほら、行くぞ」
  アレン「待って下さい。お茶があちゅいんでふ」
  神田 「舌にヤケドなんかすんなよ」(苦笑)

4,宿から一山越えたあたりの山奥で、ようやくバイクを止める二人。
  神田 「ああ、ラビが言ってたのはここらしいな」
  アレン「へぇ、ここはまだ桜が咲いてるんですね〜。
      凄いな。下はとっくに桜散ったのに」



6,神田 「人も誰もいないみたいだな。
      こんなに咲いてるのに静かなもんだ」
  アレン「神田は花見客が大嫌いですもんね。
      おかげで今年も花見し損ねましたよ」
  神田 「お前は新入生の歓迎コンパとかしょっちゅう出てたじゃねぇか。
      もう桜は見飽きたろ? 」
  アレン「僕は神田と二人っきりでしたかったんですっ」



7、神田 「フン、ちょうどいい。
      今からやろうぜ、モヤシ」
  アレン「…ラビにわざわざ聞いたのって、その為ですか?」
  神田 「……………」(苦笑して何も言わない)

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