薄紅の日 2

1,アレン「うわぁ、奥はもっと凄いんですね。
     こんなに綺麗なのに、僕らだけなんてもったいないな」
  神田 「だから、いいんじゃねぇか。
      桜に群がるのは野暮ってもんだ」
  アレン「綺麗なものに、人が惹きつけられるのは当たり前でしょう?
      でも、こんな綺麗な景色、大事な人と一緒に見たいってのは
      解りますけど」



2,アレん「あー、しまった。こんな事なら宿屋でお弁当頼むんでしたね」
  神田 「イワナとか山菜とか、道の駅で食うんじゃねぇのか?」
  アレン「それはそうですけど…でも、せっかくの花見だし。
      神田も最初から言ってくれたら、ビニールシートとか用意したのに」
  神田 「そんなの話したら、つまんねぇだろ。
      お前、きっと大荷物にするし。
      桜を見るのに、余計なもんはいらねぇんだよ。
      グダグダ言ってねぇで、ここ座れ。
      フラフラすんな」
  アレン「はぁ」



2,アレン「草の上に直に座るなんて久しぶりだな」
  神田 「こういう花見も悪くねぇだろ?」
  アレン「そうですね。


      …今日がお天気でよかったな。
      風はあたたかくて柔らかいし、鳥の声と葉ずれの音しかしないし。
      景色が全部桜色で、まるで天国みたいだ。
      金曜日まで、学校で一杯人に囲まれてたのが嘘みたい。
      隣にいるのは神田だけで…。
      ここがホントに天国だったらいいのに」

  神田 「天国なんかねぇよ。
      それにここはただの山だ」
  アレン「神田って、ホントにロマンがないですねぇ」



3,神田 「ロマンとか抜かすが、お前が欲しいのはこれだろ?」
  アレン「……!!
      お花見団子じゃないですか!
      もう、どうして黙ってたんですかー!?」
  神田 「ほら、やっぱりな。
      天国より、現物だよな、お前は」
  アレン「……もー、そうですよ。
      この花見に足りない物は、甘い物ですよ。
      ホントに神田って意地が悪いんだから」



4、神田 「いいじゃねぇか、この程度。
     にぎやか好きもいいが、新歓コンパに浮かれてやがったバツだ」
  アレン「神田も来ればよかったのに。
      
つまんない嫉妬しないで下さい」
  神田 「すぐ辞めちまうクラブの新人なんかに興味ねぇよ。
      お前に色目使う連中のツラ見るのもな」
  アレン「…もう」

     (ホントは神田狙いの子の方が遙かに多いのになぁ。
      部長もそれ目当てでコンパ開いたのに肝心の神田が来ないから
      僕が駆り出される羽目になったのに…。
      でも、そういうとまた怒るんだろーなー。
      もう、いっつも自分勝手なんだから!
      何か腹立ってきた)



5,アレン「じゃ、僕に食べさせて下さい」
  神田 「ほら」
  アレン「ダメ。神田が持ったままにして。
      そのまま食べるから」
  神田 「ガキみたいな事言ってないで自分で持て」
  アレン「それくらいいいでしょ?
      せっかく神田がくれるんだし」
  神田 「仕方ねぇな、ほら」



6,アレン「…ん、はむ…ん、ん」
  神田 「……………」
  アレン「んん、ふ…ぅ。
      おいしいですね、これ。甘過ぎなくて。
      もっと下さい」
  神田 「……………ああ」
  アレン「ふふ…んん…ふ…ぱく…んん」

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