薄紅の日 6
1,神田 「もう昼時だな、そろそろ行くか。
ほぉ、こうして見下ろすとここだけ桜の海の中みてぇだ。
結局、誰も来なくてよかったな、モヤシ。
道の駅で何でも頼んでいいぞ。俺のおごりだ」
アレン 「その事ですけど…近場で休んでいきませんか?」
神田 「何でだ? お前、楽しみにしてただろ?」
アレン「もちろん、道の駅には寄りますけどー。
お尻とかおなかの中とかキツイんですよ!///.
あんなに何度もするからっ」
神田 「ハハ、お前もつき合うって言ったじゃねぇか」
アレン「言いましたけどー。
あ、あんなにするとは思わなかったんです…///
神田はいいでしょうけど、僕の身体は男なんですから、
元々こういうのに向いてないんですから」
神田 「その割に敏感すぎるがな」
アレン「バカンダ!」
神田 「解った、解った」
2,峠近辺のイタリアンカフェに立ち寄りました。
なかなかおしゃれです。
神田 「そんな軽いのでいいのか?」
アレン「まだ山菜御飯、諦めてませんので。
でも、今はシフォンケーキで精一杯です、ふぅ」
神田 「…悪かったな」
アレン「いいですよ。僕も…よかったから…。
でも、今度はお弁当持参で行きましょうね。
だましっこなしです」
神田 「ギャンブルには強い癖に、コロッと騙されるよな、お前。
基本的にギャンブルに向いてないんじゃねぇのか?」
アレン「師匠の借金の為に始めただけですからね。
でも、僕はお人好しでいいと思ってます。
人を疑うのってイヤですもん」
神田 「ああ、俺もそういうお前が嫌いじゃない。
…ここも桜が綺麗だな」
アレン「僕はしばらく桜を見たら、紅くなりそうですよ///」
神田 「ふ…近所が殆ど散ってて残念だったな」
3,翌日、ラビ達におみやげを持っていこうとしたら、凄い土砂降りです。
神田 「ひでぇな、今日は止めるか、モヤシ?」
アレン「でも、生ものだし。行きましょう、神田」
神田 「しかし、昨日行っててよかったな。
この分じゃ山も雨だぜ」
アレン「そうですね。あの桜も全部散ってしまうんだろうな…」4,神田 「また来年行けばいいさ。
今度は一日中ゆっくりしよう」
アレン「そうですね、今度はお弁当持って。
でも…出来れば、もうちょっと手加減して欲しいんですけど」
神田 「悔い損ねた山菜定食、まだ恨んでるのか。
食えばよかっただろ?」
アレン「誰のせいだと思ってるんですか? 誰の!?
あんなに悔しかったのは初めてですよ!」
神田 「弁当もあったんだから、それ買えばよかったのに」
アレン「旅先で食べるから価値があるんですよ。
家じゃ台無しです」
神田 「買ってきた天ぷらとか団子とかうまそうに食ってたじゃねぇか。
それは構わないのか。
お前ってホントにいやしんぼだな」
アレン「食べ物の恨みは怖いんですよ、神田〜」
神田 「バーカ」
5,アレン「バーカって言う奴がバカです」
神田 「知るかよ」
アレン「神田のバーカ、バカンダ。
フランス料理おごってくれるまで許しません」
神田 「山菜定食じゃねぇのかよ」
アレン「僕の怒りを納めるにはフレンチがいいと、神様が言ってます」
神田 「神様なんか知るか。どーせ、また誰かにうまい店とか聞いたんだろ」
アレン「神田、フレンチ〜フレンチ〜」
神田 「あー、うっせぇ。うっせぇ」
アレン「安くておいしくて量が多い家庭フランス料理なんですよぉ」
神田 「聞こえねー。雨の音で聞こえねー」
アレン「神田ぁぁ。フレンチ〜」そう言いながら雨の中を消えていくバカップル。
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