『縁日』2

1 これはニワトリをタイミングよく投げて、バケツの中に落とすゲームです。
  神田 「勝ったな!!」
  アレン「…そうですね」
  神田 「むくれんなよ。お前の欲しい物、もらっていいから」
  アレン「そうですか。えっと、じゃ、このニワトリの人形下さい」
  神田 「女みてぇだな。そこのドクロとかかっこいいじゃねぇか」
  アレン「いいんですよ。何でかな。ニワトリにどうも親近感があって…。
     見てると何か腹立ってくるというか。でも、欲しいです」
  神田 「ま、いいけどよ。何か食うか?」
  アレン「ええ。お腹ペコペコです!!!」
  神田 「その顔なら夜店全部制覇できそうだな」(苦笑)
  アレン「いいじゃないですか。楽しまなくちゃ」



2 神田 「それとそれな」
  アレン「あ、僕、量多めで」
  神田 「がっつくなよ。他にも店あんだから」

3 アレン「じゃ、たこ焼きもお願いします!」
  神田 「…こんなん食うなよ」
  アレン「いいじゃないですか。まだラビの事、気にしてるんですか?」
  神田 「……チッ。
      お前の食欲じゃこれじゃ足りないだろ?
      寿司にしねぇか?」
  アレン「僕はこれが食べたいんですよ。
      ラビがびっくりするって言ってたの、凄く気になるんです!」
  神田 「…お前さ。…いや、イギリス人て、たこ食べるのか?」
  アレン「たこ? たこって八本足のでしょ?
      まさか食べませんよ!!! 気持ち悪い!
      英語じゃデビルフィッシュって言って、船を沈めちゃう伝説のアレですよね。

      それを象ったお菓子なんでしょ?」
  神田 「やっぱりな。
      あれ見てどう思う?」
  アレン「……丸いですね。ああ、解った。たこの頭の形なんだ」
  神田 「ま、そうだな。ついでに本物のたこも入ってる」
  アレン「……………まさか、冗談でしょ!?」
  神田 「本当だ」
  アレン「…日本人はたこ食べるんですか? 神田も?」
  神田 「ガキの頃はよく食ったよ。
      で、どうする?」
  アレン「…今日はやめときます」
  神田 「結構うまいぞ」
  アレン「いいですってば!」



4 神田  「握り二つ。あ、一つはわさび抜いてくれ」
  アレン「………神田、僕を子供扱いしてませんか?」
  神田 「お前、余り寿司食った事ねぇんだろ?」
  アレン「はい…巻き寿司といなりだけですけど。
      でも、平気ですよ。それくらい!

  神田 「けどな」
  アレン「大丈夫ですってば! 過保護はやめて下さい!」
  神田 「そうムキになんなよ。解った、じゃ、わさび入れてくれ。
     後で泣いても知らねぇぞ 」


 
5 アレン「何か、その言い方引っかかるんですけど」
  神田 「お前こそ突っかかるなよ。

       ……さっきの事、まだ怒ってんのか?
      手前もしつこいな」
  アレン「怒ってなんかいませんよ」
  神田 「怒ってるじゃねぇか」
  アレン「神田こそ嫉妬深くて時々イヤになるんですけど」
  神田 「ラビの野郎が俺のもんにちょっかい出すのが気に食わなくて
      何が悪い!」
  アレン「神田ったら。ラビは友達じゃないですか。
      神田こそラビといつも一緒に話してるくせに!すっごく仲よさそうで、
      時々、僕なんかよりずっと話が合うんじゃないかと思います」
  神田 「あいつは同級生だから仕方ねぇだろ?」
  アレン「同級生だけとは思えませんけど。
      後輩の僕じゃ何で駄目なんですか?!」
  神田 「お前を好きだと解ってるのに何であったかく見守らねぇといけねぇんだ!」

  香具師「もー、あんたら、よそでやってくれ。
     商売の邪魔だよ」



6 神田 (…これ見よがしに向こうに座りやがって。
      バカモヤシ。バカモヤシ)
  アレン(もー、頭来た! せっかく楽しみに来たのに…!

      うっ……!!! 痛…。何だ、これ。
      頭がツーンとする…。うわーーー。
      もー、涙出てきた。
      …神田が見てる…悔しいから絶対泣くもんか!
      神田なんか知らないから!)

  神田 (…あの野郎、半分も食わないで行っちまったな。
      チッ、思った通りだぜ。バカが。

     …ったく。何であいつは俺の言う事を聞かねぇんだ)

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