「バレンタインの雪」1
1 世界的に暖冬ですが、この街も暖かかったり、寒かったり。
弥生ママにもらったこたつが大活躍です。
アレン「こたつっていいですねぇ。なごむっていうかー。
一編入るとなかなか出られなくなっちゃいますよね」
神田 「そうだな。レポートもここでついしちまうし」
アレン「ねー、だったら、いっそ食事もここでしませんか?
お鍋なんていいし」
神田 「いいぜと言いたい所だが、ダメだ」
アレン「何で」
神田 「部屋が散らかるだろ?
こないだのおでんパーティの酒も残ったまんまだし。
直しきれないツリーも置いてるし」
アレン「えー」
2 アレン「ところで今年のバレンタインどうしましょ?」
神田 「はぁ?」
アレン「はぁって、またですか?
いくらイベント嫌いだからって、恋人同士の大事な日でしょ?」
神田 「夫婦なんだから、必要ないんじゃねぇか?
大体、お前が俺を好きだって解ってるし、改めて告白されるのもな。
企業戦略に乗せられるのも好きじゃねぇ」
アレン「そりゃそうですけど、改めて確かめ合うってのもいいじゃないですか。
やっぱり僕、チョコ買いたいです。
この時期しか出ない外国のブランドのがあるんですよ。
チェリーとか入ってすっごくおいしいんですって。
後、ちょっと配りたい人もいるし」
3 神田 「……何で、男のお前がチョコ配らないといけねぇんだ」
アレン「え? あ。いえ、まぁちょっとね。
あ、おしっこ行ってこよっと」
神田 「おい、待て。はっきりしろ」
アレン「…別に変な意味じゃないですよー。
僕が買いに行くついでに、みんなから買ってきてって頼まれただけです。
男だから、女ばっかりの売り場に行くのは恥ずかしいって。
僕は神田の妻だから…平気だし」
神田 「みんなって、あのバカウサギか」
アレン「…そうともいいますね。後、神田のお兄さんとか」
神田 「断れ」
アレン「でも、もう約束しちゃったですから」
神田 「あいつら、自分の女にもらえばいいじゃねぇか。
…ったく。口実だぜ、そんなん。お前からのが欲しいだけだ。
…解った。ただし、一つだけ条件がある」
アレン「……………えー、イヤな予感」4 神田 「…ふん、よく似合うな」
アレン「もー、何で女装なんかー。 僕が女装キライなの知ってるくせに」
神田 「ハロウィーンの時は自分から着てるじゃねぇか」
アレン「あれは神田に着てほしいからですよ」
神田 「なら、お互い様だ。
俺はな、男のお前が女どもに混じってチョコ買ってる姿がイヤなんだよ。
それなら、別に恥ずかしかねぇだろ」
アレン「女装してまで、チョコ買う方が恥ずかしいです。
神田、 バレンタインに偏見持ってるでしょ」
神田 「うるせぇな。 それから、俺も一緒に行くからな」
アレン「それじゃ、神田にどんなチョコ買ったかバレちゃうじゃないですか」
神田 「チョコはともかく、久しぶりに一緒に飯を食うのはどうだ?
バレンタインは恋人の大事な日なんだろ?」
アレン「うーー、ズルイですよー、神田ー」
5 という訳で街にデートです。
神田 「あったかいな、今日は。今年は雪が積もらないまま終わりそうだな」
アレン「そんな事より早く行きましょうよ。
出来れば、知り合いに会いたくないんです」
神田 「解りゃしねぇよ。お前、ホント女にしか見えねぇし」
アレン「…それがイヤなんですよ」
神田 「俺のことを綺麗だ、女みてーと言ってる罰だ」
アレン「だって、ホントですもん」6 神田 「女がそんな大股開きで歩く奴あるか!」
アレン「女じゃないですもん! とにかくさっさと行って、
さっさと終わらせましょう」
神田 「恋人同士の大事な日じゃねぇのかよ(笑)」
アレン「まだ、バレンタインまで時間があるんですから、ふつーのデートです!」
神田 「仕方ねぇ奴だ」今年のバレンタインも波乱含みです(笑)
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