「ハロウィーン・パーティ」3

1,アレン「ねぇ、師匠。ちょっとお腹が空きませんか?
      作るのも面倒だし、何か食べて帰りましょうよ」
  クロス「そうだな…まぁ、いいか。
      近所にうまい店を知ってるから行くか。
      おごってやる」
  アレン「えええ!!?? ほ、本当ですかっ!?」
  クロス「派手に驚くな、アホゥ」
  アレン「だって、師匠が僕におごってくれるなんてっ!
      一体どういう心境の変化ですかっ!?」
  クロス「…段々、おごりたくなくなってきたぞ、馬鹿弟子」
  アレン「う、嘘です、嘘ですっ! 本当に嬉しいんですってば!」

2,クロス「さぁ、どんどん食え。遠慮するな。俺のおごりだ」
  アレン「……、はぁ、オチは解ってたんですけどね」
  クロス「何をしょぼくれてる。ここのは本当にうまいぞ」
  アレン「はぁ、そうでしょうねー。
      僕に払わせる時は三つ星とか、秘密クラブばっかりなのに…。

      あ、おいしい…」
  クロス「だろうが。俺は嘘は言わん」
  アレン「嘘ばっかりじゃないですか。
      でも、本当もおいしいです〜v」

3,アレン「スーパーのフードコートですけど、結構イケますねv」
  クロス「ここはうまくて、安いんだ。たまに使う」
  アレン「へぇ〜。…ちょっと意外です」
  クロス「何だ?」
  アレン「師匠って、ゴージャスで高い物しか興味ないって思ってました。
      こういう庶民の味も知ってるなんて。
      師匠があんなペストリーを立ち食いしてるなんて、
      今まで想像もしてませんでしたよ。
      頭からバカにしてるって思ってました。
      そんなものを食べる位なら、食べるの止めるって」
  クロス「当たり前だ。まずいものに金なんか払うか。
      安くてうまいなら結構な事だ。
      そういうものを別にバカになどしていない」

4,アレン「じゃ、何でいっつもバカ高い店で飲むんですか?」
  クロス「偶然だ。

      俺が飲む酒や食い物がたまたま高かっただけだ」
  アレン「はー? 偶然であんな高そうな店に入っちゃったっていうんですか?」
  クロス「………? 店先見たら、そこがうまいか解るだろう、普通」
  アレン「解りませんよ、そんなの!
      だから、みんな、ガイドブックとか口コミで探すんでしょ?」
   クロス「そんなもの頼った事ねぇな
      通りかかって、入ったらうまかった。
      それで外れた事は一度もない。旅先でも、ここもそうだ。
      依頼人との待ち合わせに時間があったから使っただけだ」
  アレン「はぁ〜、何か羨ましい才能だなぁ。
      出来れば、値段も入る前に解ってくれたらいいのにー」

5、帰宅して、さっそく仕込みにかかるアレンたん。
  手伝いのミランダさんも来てくれました。
  アレン
「もう師匠、邪魔ですから向こう行ってて下さい」
  クロス「つまみがねぇぞぉ〜。ミモレット、切らすなっつったろ。
      …ロクなもんねぇなー」
  アレン「塩でも舐めてて下さい。
      パーティの食材は別にしてますんで、触らないで下さいよ」
  クロス「フン。仕方ねぇなー、別のとこで飲み直すか。
      おい、俺はちょっと出てくる。
      俺が帰ってくるまでに終わっておけよ」
  アレン「……また、女の人の所ですか〜?
      師匠ってそういうとこ、ホントまめですよね」
  クロス「バーカ。さっきのケーキのお届け物だ。
      生意気言ってねぇで、さっさとやれ」

  アレン(……バカ)

6,アレン(ハァ、時間がかかったけど、ミランダさんのおかげで
      何とか出来たなー。
      ここなんて、ハロウィーンじゃなくて、SMの部屋みたいに
      なっちゃった。
      もらったって言ってたけど、師匠ってば、こんなもの
       誰からもらったりするんだろ。
      当然、使ったりするんだよね。誰かと…。

      ま、僕には関係ないけどさ。
      僕は一人前の弁護士になりたいだけだし、師匠といれば
      コネも出来るし、あの家にも戻らなくていいし…。

      ……………。

      何で一人でいるとモヤモヤすんのかな。
      勉強しようと思っても、ちっとも先に進まない。
      僕は別にもう淋しいって歳じゃないし、
      あの人がいても怒ってばっかりだし、
      師匠には師匠の生活があって、僕は居候してる只の弟子だもの。
      
      マナといた頃は単純だったな…。
      好きな人をただ好きでいればよかった。

      僕は…師匠をどう思ってるんだろう…。
      師匠は僕の事…… はぁ〜、バカみたいだ…僕。

次へ  前へ

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送